2008-04-14

平成8年度 森林(4/9)

■問題
次の植物の組み合わせの中から3つを選び、それぞれの植物の違いを説明せよ。
(1) ヒノキとアスナロ
(2) シラカンバとウダイカンバ
(3) タカノツメとコシアブラ
(4) エノキとムクノキミヤコザサとチシマザサ

■MEMO
「森林インストラクター養成講習教科書選集 改訂第2版」42~46ページの「表3 類似種の区別点」

2008-04-13

平成8年度 森林(3/9)

■問題
次の文章は類似樹木の見分け方です。適切な語句を下記から選び、空欄を埋めよ。
  
落葉高木のブナの樹皮は一般に、( ア )。葉は( イ )。果実は( ウ )。ところが、イヌブナの樹皮は一般に( エ )。葉は( オ )。果実は( カ )。

① 灰白色
② 暗白色
③ 下半分のみ総苞につつまれる。
④ 総苞につつまれる。
⑤ 側脈が10~14対で、裏面は白味がある。側脈が7~11対で、裏面は淡緑色である。

■解答
ア:①、イ:⑥、ウ:④、エ:②、オ:⑤、カ:③

■MEMO
「森林インストラクター養成講習教科書選集 改訂第2版」42~46ページの「表3 類似種の区別点」

2008-04-12

平成8年度 森林(2/9)

■問題
日本各地に残存する天然林のうち、面積的な広がりが大きいのは、シイ、カシ類からなる常緑広葉樹林、ブナに代表される落葉広葉樹林、トドマツ、エゾマツなどの針葉樹と温帯性広葉樹の混交する北方針広混交林の3つの森林型である。この3つの森林域に出現する樹種を下記の中から5つづつ選択せよ。

■解答
常緑広葉樹林:アオキ、シロダモ、シキミ、イヌガヤ、テイカカズラ
落葉広葉樹林:ウラジロモミ、ユキツバキ、クロモジ、ヒメアオキ、ヤマモミジ
針広混交林:カツラ、オニグルミ、オオバボダイジュ、ハルニレ、ミズナラ

■MEMO
「森林インストラクター養成講習教科書選集 改訂第2版」41ページの「表2 3つの森林帯域における主要樹種」

平成8年度 森林(1/9)

■問題
森林とは何かを生態学的視点から、一般の人にわかりやすいように、300字以内で説明せよ。

■解答例
森林とは、数m以上の樹高をもち、ある程度以上の密度でまとまっており、かつ面積的広がりを有する樹木から構成されており、独特の森林生態系を有している。森林生態系は光合成を行う植物(生産者)、光合成生産物に依存する動物(消費者)、および植物と動物の遺体を分解する微生物(分解者)などのつながりで形成されている。森林とは樹木を中心とする生物が共存している場である。

■MEMO
森林生態系についてまとめる

2008-04-11

平成9年度 林業(10/10)

■問題
木材中に存在する水には自由水と結合水があるが、それぞれどういう性質の水かを300字以内で記述せよ。

■解答例
木材は伐採時には多量の水分を含んでおり、水の存在する部位により自由水と結合水に分けられる。細胞内腔や細胞間隙などの空隙部分に液体の形で存在する水を自由水といい、一方、細胞壁中に存在し、木材の実質と水素結合やファンデルワース力によって結合している水を結合水という。伐採後、水分が徐々に抜けていくがこれは自由水がなくなることを意味するが、木材の収縮は結合水の増減と密接に関係する。木材中の水分状態は含水率の違いにより、生材状態(立木ないし伐採直後)、繊維飽和点(自由水がなくなり、細胞壁が結合水で飽和した状態)、気乾状態(木材が大気の温湿度と平衡した状態)、全乾状態(乾燥機で乾燥した状態)の4つの状態に分けられる。

平成9年度 林業(9/10)

■問題
以下の文章の空欄に、もっとも適当と思う語句を下段の語句から選び、文章を完結させよ。

(1)木材の最大の特徴は、(①  )、鉄などと違い持続的に(②  )可能な材料ということである。樹木は大気中の(③  )と水から(④  )によって構成成分が合成され、細胞分裂、細胞壁の形成によって(⑤  )する。そのため、伐ったら植えるサイクルによって木材は持続的に利用できる。

・太陽エネルギー ・再生産 ・消費 ・成長 ・熱エネルギー ・二酸化硫黄 ・鉛 ・二酸化炭素 ・石油 ・揮発分

(2)木材を建築資材にするための(⑥  )は他の材料に比べてきわめて少ない。各種材料製造における消費エネルギー、(⑦  )放出量は、単位重量あたり鋼材、アルミニウムがそれぞれ木材の(⑧  )、250倍以上と試算されている。また、木材は住宅あるいは木製品として利用される限りにおいて、そこに炭素を(⑨  )しており、木材は炭酸ガスの(⑩  )、住宅は都市の森林といわれる。

・炭素 ・酸素 ・エネルギー ・20 ・100 ・200 ・放散 ・貯蔵 ・焼却 ・缶詰 ・生産

■解答
①石油 ②再生産 ③二酸化炭素 ④太陽エネルギー ⑤成長 ⑥エネルギー ⑦炭素 ⑧20 ⑨貯蔵 ⑩缶詰

■MEMO
木材の得失についてまとめる

平成9年度 林業(8/10)

■問題
わが国の森林法に掲げられている保安林の種類を5つあげ、その期待されている役割を簡潔に述べよ。

■解答例
水源涵養保安林:河川の流量調節、洪水の防止、用水の確保等を目的としており、全保安林の約7割(68%)を占める。
土砂流失防備保安林:林地の表面侵食や崩壊による土砂の流出を防止することを目的としており、全保安林の約2割(22%)である。
土砂崩壊防備保安林:林地の崩壊を防止し、崩れ落ちた土砂による被害を防ぐ。
飛砂防備保安林:海岸などの砂が飛ぶのを防ぎ、飛砂遮断により内陸部を守る。
防風保安林:樹体で風速を和らげ、背後の農地や生活環境を守る。
水害防備保安林:洪水時、幹で水の勢いを和らげ、根で浸食を防ぐ。
潮害防備保安林:津波や高潮の時、幹で波の勢いを制して被害を防ぐ。
干害防備保安林:局所的な用水源を保護し、干害を防ぐ。
防雪保安林:吹雪の風速を減殺し、林内に雪を積もらせ、背後の鉄道などを守る。
防霧保安林:霧の移動を止め、枝葉が霧をとらえて農地の冷害を防ぐ。
雪崩防止保安林:雪崩の勢いを樹幹が妨げ、あるいは方向を無害な方へ誘導する。
落石防止保安林:根系によって土砂の崩壊・転落を防ぎ、石の転落の勢いを止める。
防火保安林:耐火性・防火性に優れた樹木の森林で、火災の延焼を食い止める。
魚付き保安林:森林のかげ等で魚類の生息と繁殖の環境を作り維持する。
航行目標保安林:海岸や湖岸で地理的目標となり、漁船などの航行の目標となる。
保健保安林:気象条件の緩和、レクリエーションの場など、保健・衛生に資する。
風致保安林:趣のある風景を構成するのに効果のある森林

■MEMO
保安林は出題頻度が高いので、保安林の種類、役割、その指定者についてまとめておく。

平成9年度 林業(7/10)

■問題
次の文章をよく読み、空欄に適語をうめよ。

 特用林産物の生産は、農山村における(①  )として重要な役割を果たすと同時に、近年、林業生産活動が停滞する中で、地域経済の振興と農山村住民の(②  )に大きく貢献しており、産地の実情に応じた生産、加工、流通体制の整備を進めることが必要となっている。
 また、特用林産物は、種類が豊富であるため、工夫次第によっては、地域独自の(③  )として開発され、(④  )される(⑤  )も高いので、そのような産品の企画・開発を含む需要拡大の推進が重要である。さらに、特用林産物の長所や利用方法の普及・啓発を図っていくことも重要である。

■解答
①収入源 ②定住化 ③特産品 ④商品化 ⑤可能性

平成9年度 林業(6/10)

■問題
人工林で行われる次の作業を、植生遷移の観点から説明せよ。(各々100字程度)
(1)植栽 (2)下刈り (3)除伐

■解答例
(1)植栽:森林を伐採し、人為的に樹木の苗木を植栽することである。伐採後何もしない場合、明るい箇所を好む草本が生えてくるところから二次遷移が始まり、木本が生えてくるには時間を要するが、植栽することにより植生遷移の段階を早めることができる。
(2)下刈り:人為的に苗木を植栽したとしても、その周囲で植生遷移は進む。下刈りは、光環境の競争から苗木を保護し、育成をはかるために、植栽木以外の植生遷移の進行を遅らせることを目的としている。
(3)除伐:植栽木以外に、その場所で進行する植生遷移の中で出現してくる植物がある。除伐は林分閉鎖の後に植栽木以外の樹種を除去し、植栽木の保護・育成を進める為に行うものである。

■MEMO
施業体系について調べる

2008-04-10

平成9年度 林業(5/10)

■問題
これからの林業経営に好ましいと思われる皆伐及び単木択伐以外の森林作業法を1つ取り上げ、その体系(作業手順)と特徴について300字以内で記述せよ。

■MEMO
列状間伐、強度の間伐をとりあげる。

平成9年度 林業(4/10)

■問題
「持続可能な森林経営」という言葉について、知っていることを300字以内にまとめて記述せよ。

■解答例
1992年にリオデジャネイロで開催された国連環境開発会議で森林原則声明及びアジェンダ21が採択され、持続可能な森林経営に向けて各国が努力することが合意された。持続可能な森林経営は林業の理念にも合致するが、あえて強調されたのは、森林が減少し、その質的劣化も加わって、森林経営が危ぶまれているからであり、持続可能な森林経営の中身が、木材生産の保続から持続可能な森林生態系の管理に変わった。その目指すところは木材生産、生物の多様性、水や土壌資源の保全など、多面的な森林の働きの保全であり、将来の世代のニーズを満たすこともでき、今の世代のニーズにも対応できる森林経営を意味する。

■MEMO
最新の「林業白書」で、持続可能な森林経営をどのように捉えているか調べる。時代は生物多様性か?

2008-04-09

平成9年度 林業(3/10)

■問題
森林生態系は、生産者の植物、植物の生産に依存した消費者の動物、さらにそれらの遺体を分解する分解者から成り立っている。生産者の植物、消費者、分解者により生み出される森林の効用を300字以内で記述せよ。

■解答例
 生産者である植物は、光合成によって作られた樹皮や葉や果実を、消費者である動物に食物として提供している。
 消費者である動物は、ただ植物を食べているだけではなく、植物の種子を糞などにより分散させるなどして、植物と共存しているものもいる。
 分解者は落葉、落枝、動物の死体などを分解して無機物に変え、森林土壌を豊かにし、生産者である植物の生育に貢献している。 このように森林生態系においては、エネルギーの循環が絶えず行われており、生産者、消費者、分解者が相互に助け合い、森林を維持しつつ、周辺環境に作用し、気温や湿度の安定化や水源涵養などの公益的機能を発揮している。

■MEMO
エネルギーの循環についてまとめる

2008-04-08

平成9年度 林業(2/10)

■問題
森林は、その(①  )作用によって大気中の(②  )を大量に吸収し、有機物化して蓄積している。全世界の森林が保有する(③  )の量は、土壌有機物も勘定に入れれば、大気中のそれの2倍にも当たる計算となり、この意味で森林は(③  )の貯蔵庫といえる。安定した森林では、(①  )で取り込むのと同量の(③  )が、(④  )や(⑤  )によって大気に戻されるのが本来の姿である。
 しかし、地球の人口はますます増加し、その増加人口の90%が熱帯域に多い途上国に集中しているが、こうした人口急増に伴う(⑥  )や(⑦  )のため、途上国を中心に急激に進む(⑧  )によって、大気への(③  )の放出量は吸収量を大きく上回る現状にある。森林消失面積は毎年1540万ha(1分間に29haずつ)に達しており、(⑧  )によって大気中に放出される(③  )の量は年間30億トン、それは(⑨  )による年間60億トンの半分と概算されている。
 一方、大気中の(②  )濃度が上昇すれば、森林がその分だけ盛んに(①  )し、その濃度引き下げに働くことが期待される。森林はその意味で(②  )の自動制御装置とも言える。しかし、それに働くべき森林が減少してしまっては問題にならないのである。

■解答
①光合成 ②二酸化炭素 ③炭素 ④呼吸 ⑤分解 ⑥農地開発 ⑦薪炭材採取 ⑧森林破壊 ⑨化石燃料燃焼

■MEMO
途上国における燃料の大部分は薪や炭などの木質系のものである

2008-04-07

平成9年度 林業(1/10)

■問題
次の文章をよく読み、空欄に適語をうめよ。

 日本は「森の国」である。というのは、国土面積の約(①  )%が森林であり、地球全体の森林率が28.9%であることからみて極めて高い割合であることからもうなずけよう。森林はその大半が山村に存在しているが、その山村が今日抱える問題は深刻である。今日の山村問題とは、第一に、(②  )化・(③  )化が進行していることであり、第二に、それと関連して、農林業の(④  )不足が深刻化し、同時に産業としての低迷が長期化・構造化しており、第三には、森林の荒廃や水田の(⑤  )の増加などによって、山村における(⑥  )が重要な課題となっている。
 しかし、今日の山村をめぐる状況は、決して悲観的なことばかりではない。農林業を単なる食糧生産、木材生産として捉えるという(⑦  )機能に限定した視点だけでなく、山村の持つ多様性を全面に押し出して、国土保全・水源涵養機能といった(⑧  )機能を積極的に評価しようという動きが顕著になってきている。
 そのような流れの中で、近年、山村地域を(⑨  )するための様々な取り組みがなされている。その中で注目すべきは、漁師が上流部に植林したり、下流の都市住民が森林保全のための基金を積んだりという動きであろう。これは、上流から下流まで、それぞれの立場で互いに連携しながら住みよい地域を作ろうということであり、まさに(⑩  )社会の形成という考え方を実践するものである。

■解答
①67 ②過疎 ③高齢 ④労働力 ⑤耕作放棄地 ⑥環境破壊 ⑦経済的 ⑧公益的 ⑨活性化 ⑩流域

■MEMO
国土の2/3は森林で占められている。日本の森林のうち、人工林は2/5。

2008-04-06

平成9年度 森林(8/8)

■問題
生態系におけるきのこ(菌類)の役割について、300字以内で説明せよ。

■解答例
 きのこは葉緑素をもたないため、光合成により有機物を生産することができず、植物の生産した有機物や一部の昆虫などを分解酵素の働きで分解して養分(餌)をとっている。きのこを作る菌類は木材腐朽菌、落葉分解菌、菌根菌であるが生態系におけるきのこの役割は次のとおりである。
 木材腐朽菌は木材を腐らせて栄養にし、土に還元する働き、菌根菌は生きた植物の根について水やミネラルを与え、植物を助ける働きをしている。 従ってきのこはこれらの活動により植物遺体の有機物を腐らせ土壌形成を進めたり、植物の生産力を向上させるなど、分解者として物質循環の重要な担い手である。

■MEMO
きのこ(菌類)に関連する過去問を調べる

平成9年度 森林(7/8)

■問題
次の文章について、正しいものには○、誤っているものには×と解答せよ。

1.( )国立公園は環境大臣が指定し、管理は都道府県知事が行うことになっている。
2.( )民有林について農林水産大臣が指定する保安林の種類は3つである。
3.( )鳥獣保護区は鳥獣の保護増殖を図るために必要な場所に、農林水産大臣又は都道府県知事が指定することになっている。
4.( )森林内の開発については、林野庁長官の許可が必要である。
5.( )森林とその周辺で火入れをする場合は、その規模により都道府県知事の許可が必要である。
6.( )森林とその周辺で火入れをする場合は、その規模に関係なく市町村長の許可が必要である。

■解答
1.× 2.○ 3.× 4.× 5.× 6.○

■MEMO
自然公園法、保安林、鳥獣保護法、林地開発許可制度等、環境法律関連についてとりまとめる

平成9年度 森林(6/8)

■問題
問1. 次の分の( )の中へ、もっとも適当な土壌名及び土壌型を下記の2グループからそれぞれ1つを選び、記号を記入せよ。

 日本の森林地帯にもっとも広く分布する土壌は(A:        )であり、スギやブナがよく成長する土壌は(B:      )である。

グループA:イ.褐色森林土 ロ.赤色土 ハ.黒色土
グループB:イ.乾性褐色森林土(細粒状構造型) ロ.適潤性褐色森林土 ハ.適潤性赤色土

■解答
A:イ、B:ロ

■MEMO
日本の森林土壌についてまとめる

平成9年度 森林(5/8)

■問題
イヌワシは主としてブナの森に生息するが、最近、その数が減少しているといわれている。そこで、保護対策として、どのような森林管理のあり方が考えられるか、イヌワシの餌の確保と生息環境保全の2点から考察し、300字以内で説明せよ。

■解答例
①餌の確保:イヌワシの主食はノウサギである。最近、ノウサギが減ってきたのは、スギなどの針葉樹林が増えてきたからと考えられている。ノウサギの生息しやすい環境は広葉樹林と草地が、モザイク状に混在するようなところである。そのような森を造成・復活し、維持する。
②生息環境の保全:イヌワシは、断崖の岩棚か、針葉樹の大木によく営巣する。基本的にはブナの原生林をできるだけ維持する。とくに営巣地の周辺環境を破壊しないことに留意する。

■MEMO
解答例のノウサギの減少についてのくだりに同意できないので、自分なりにまとめる。

「森林における野生生物の保護管理」日本林業調査会

2008-04-05

平成9年度 森林(4/8)

■問題
次の植物の組み合わせの中から3つを選び、それぞれの植物の違いを説明せよ
(1)ハイマツとゴヨウマツ (2)ヤブツバキとナツツバキ (3)カシワとミズナラ (4)コブシとタムシバ

■解答例
(1) ハイマツとゴヨウマツ
ハイマツ:低木性で茎や枝は地表を這う。若枝には蜜毛があり、毬果の長さは3~5cm。種子に翼はなく、高山帯に生える。
ゴヨウマツ:高木性で茎や枝は直立する。若枝には短毛がみられるがほとんど無毛。毬果の長さは5~7cm。種子に翼があり、本州・四国・九州の山地に生える。
(2) ヤブツバキとナツツバキ
ヤブツバキ:常緑の高木。花弁は赤色、紅紫色、淡紅色、白色など変異が多い。樹皮は灰白色平滑、葉は長卵形、厚く革質、表面濃緑色、光沢、裏面淡緑色、ふちに細かい鋸葉、本州・四国・九州に分布。
ナツツバキ(シャラノキ):落葉高木で花弁は白色、樹皮は帯黒赤褐色で薄く剥がれる。葉は倒卵形でやや厚い膜質、裏面に絹模様の長毛あり、葉縁に低い鋭鋸葉。本州(福島・新潟以南)・四国・九州に分布。
(3) カシワとミズナラ
カシワ:北海道・本州・四国・九州の海岸や火山の日当たりの良い礫地に群生する落葉高木で、葉は倒卵形または広倒卵形、深い波状鋸葉。葉の下面に蜜に星状毛があり、殻斗(総苞)片は長くそりかえる。
ミズナラ:温帯の山中にブナなどとの混交林、または純林を作る落葉高木で葉は倒卵状長楕円形、葉縁鋭く粗い鋸葉、葉の下面に絹毛や微毛が散生し、殻斗は椀形で、外側は小さな総苞片に瓦状におおわれている。
(4) コブシとタムシバ
コブシ:花の基部に通常1枚の若葉がつき、がくは緑色で小さく、背面に軟毛があり、葉は倒卵形で先はやや急に凸出し、やや鈍端で裏面は緑色。
タムシバ:花の基部には若葉はつかない。がく片は花弁と同質で長さ約1/2。葉は披針形ないし卵状披針形で裏面は帯白色。葉をかむと甘味と佳香があるのでカムシバともいう。

■MEMO
樹種特性の確認

平成9年度 森林(3/8)

■問題
植物は動くことができないので、自分の子孫を残すために、種子にいろいろな工夫をしている。どんな仕掛けと散布の方法があるか例をあげて400字以内で説明せよ。

■解答例
風による散布:枯葉のついた短枝とともに(ケヤキ)、種子の側面にプロペラのような翼をつけて(カエデ類)、種子の一端に羽毛をつけて落下傘のように(タンポポ)、種子の周囲に綿毛があり、ボタン雪が乱舞しているように(ヤナギ、ポプラ)、へら状の幅広い苞に種子をぶらさげてハンググライダーのように(シナノキ、オオバボダイジュ)風に乗って運ばせる。
重力による散布:種子が大型で重力のあるものは、落下するだけでころがっていく(ドングリ類)。
動物による散布:多肉質の木の実は、鳥の腹をかりて遠くに移動し、糞とともに排出される(ヤマザクラ、ムクノキ)、リス、ネズミの地中貯蔵する習性を利用して発芽を期待(ブナ、ドングリ類)、種子に細毛、カギ、逆トゲ、あるいは粘液を分泌して、動物の体毛や人間の衣類に付着して運ばせる(ヌスビトハギ、イノコズチ、オナモミ、チジミザサ)。
自動散布:成熟すると果皮がさけて、種子がはじきとばされる(ゲンノショウコ、フジ、コクサギ)。
水散布:種子が水に浮く構造を持つ(オニグルミ、モモタマナ、モダマ、ココヤシ)植物は、流れ着いた場所の条件により子孫を残しうる。

■MEMO
種子散布に関する書籍を探す

平成9年度 森林(2/8)

■問題
森林は生物多様性の宝庫であるといわれているが、なぜ森林(天然林)は生物が多様なのか、天然林について300字以内で説明せよ。

■解答例
ある小地域でも立地環境は複雑であり、それに応じて多様な森林生態系が形成されている。一つの森林の中でも微地形、微気象に応じて様々な植物種が不均一に分布生育し、複雑な構造と環境が形成される。それぞれの森林では時間の経緯とともに、高木層、低木層、草本層などの階層構造が発達し、複雑多様な林内環境が形成される。また、林床の有機物層や土壌層もよく発達する。このような森林の構造は、様々な生物の餌、営巣場所、休息・避難場所などを提供し生物多様性は高い。森林は立地環境に応じた森林の特徴を持つとともに、森林の発達段階に従って林分構造が変化するので森林自体の多様性が高い。

■MEMO
天然林は人工林と比較すると階層が発達、枯死木等の存在

「森林生態学-持続可能な管理の基礎」藤森隆郎/全国林業改良普及協会
「森林における野生生物の保護管理」日本林業調査会

平成9年度 森林(1/8)

■問題
樹木の分布は気候帯によって大別される。次の樹木名の中から、下記の各気候帯に主として分布する樹木を選んで、その番号を記入せよ。
①ミズナラ ②クスノキ ③シラベ ④スダジイ ⑤ブナ ⑥ダケカンバ ⑦イタヤカエデ ⑧アラカシ ⑨モミ ⑩ミネカエデ ⑪ウラジロモミ ⑫オオシラビソ

■解答
◇亜高山帯(亜寒帯)③シラベ ⑥ダケカンバ ⑩ミネカエデ ⑫オオシラビソ
◇温帯(冷温帯)①ミズナラ ⑤ブナ ⑦イタヤカエデ ⑪ウラジロモミ
◇暖帯(暖温帯)②クスノキ ④スダジイ ⑧アラカシ ⑨モミ

■MEMO
カエデ、モミの分布状況について調べる